前回はNS-1エンジン腰上の組み上げを行いました。
今回は元祖燃料供給の要、キャブレターのオーバーホールを実施していきます。
この記事を読むことで
キャブレターの清掃したけどエンジンの調子が良くならない、セッティングが出ないのはなぜ?
と困っている方の解決の糸口になると思います。
この記事は国産自動車ディーラーにて15年以上の整備士経験と見解でお送りします
キャブレターって?
キャブレターとは
キャブレター(carburetor、略してキャブとも呼ばれます)は、エンジンの燃料供給装置の一種。
古い車やバイクのガソリンエンジン内燃機関に使用されいて、現在でも草刈機などの小型にエンジンに採用されています。
その主な役割は、燃料(ガソリンなど)と空気を適切な比率で混合し、エンジンに送り込むこと。
上の最後の文章にあるように、燃料と空気を適切な割合で混合するのですが長期間の使用やエンジンを始動しないで長く保管・放置していると混合割合に狂いが生じたり、悪化するとエンジンが始動できなくなります。
なので定期的な清掃、場合によっては内部部品の交換が必要になるという訳です。
キャブレターオーバーホール
オーバーホールとは
オーバーホール(Overhaul)は、機械や装置を分解し、各部品を点検・清掃・修理し、必要に応じて部品を交換することで、機能を完全に回復させる作業のこと。
「分解整備」や「徹底的な修理」とも言われます。
主な目的
- 機械の劣化や不具合を修正し、性能を新しい状態に近づける。
- 定期的な点検を通じて重大な故障を未然に防ぐ。
- 機械の寿命を延ばし、安全性や効率を確保する。
キャブレターのオーバーホール手順
分解してキレイにするのは、キャブレター清掃
内部の劣化する部品を交換して初めてキャブレターのオーバーホールと言えるのでないかと私は思います。
劣化しやすいゴム製の部品は交換するのは前提として、一見劣化しなそうな金属製の部品に目を向けていただければと思います。
今回の目的は清掃ではなく正常な混合気を作れるように内部部品(ジェット類)の交換がメインです。
フロート室を開ける
キャブレターを外してガソリンを抜いたら、『フロート室』を開けます。
大体のキャブレターはプラスネジ2本で止まっていますので、ナメないように注意しながら外してください。
中はキレイ
実働車なので、中キャブレターの内部がキレイなのは想定内。
エンジンをかけて走っていれば常に新鮮なガソリンが流れているのでそんなに汚れは溜まりません!
汚れが蓄積しているのは乗らなすぎかガソリンタンクにサビや汚れがあるということ。
納屋やガレージでずっと動かさないでいるエンジンより、ちょくちょく動かしているエンジン方が調子がいいというのは本当だと思います(最低限のメンテナンスはありきですが)
ちなみに不動車で数年放置されたものは、ガソリンが変質してこびりついて酷い状態になっていることが大半です。
オーナーは定期的に動かしていたのでキレイを保ててたということですね
とことん分解する
部品を交換してしていくには分解が必要です。
今は写真が簡単に撮れる時代なのでスマホを駆使してわからなくならないように写真を撮っておきましょう!
マイナスドライバー、コンビネーションレンチなどを使って分解していきます。
7ミリのコンビネーションレンチは普段ほとんど出番がありませんが、ここで使いますので参考までに
スロージェットは40番、メインジェットは95番がついていました。
エアスクリュー、アイドルスクリューなどは、締め具合が重要です!
サービスマニュアルなどがない場合は、一度完全に締まるで何回転回るかを数えてから外すことで、わからなくならないようにしましょう!
締めてから何回転戻すかが大事。外す前に閉めて数えよう!
外したジェット類
一番右はフロートバルブ
【必見】使い古したキャブレターがセッティングが出ない理由
セッティングではメインジェット、スロージェットを交換していくのですが注目していただきたいのが
ジェットホルダー、ニードルジェットです(上の写真で左から3番目と4番目)
お分かりいただけただろうか・・・?
左が新品、右が付いていた古いもの
理由:ジェットの穴が広がって燃調が濃くなってしまう
古い方の穴が広がってね???
そうなんです!これがいくらメインジェット変えても、スロージェット変えても、セッティングが出ない原因!!
なぜ?と思いますよね!
穴が大きくなる→燃料が多く出る→空燃比が濃くなる
どんどん濃くなってしまうんです!
カスタムして社外チャンバー(マフラー)、剥き出しのエアークリーナー(キノコ)、そしてボアアップ!!
改造してノーマルより燃料が必要になるのにジェットの番手をあげると吹けなくて調子が悪い(セッティングマニュアルが付いていて従うとこうなる)
いっそノーマルの番手が一番マシ、改造してるのに・・・壊れないか心配・・・
私も長ーい間、何故こうなるかの原因を知らずに悩んでいました・・・
今回ついていたメインジェットの95番も実はこの年式のNS-1の標準番手。ボアアップしているのに・・・これが一番調子が良かったので・・・当時は解決仕舞いう訳)
薄くしていけばどこかでセッティングは出るはずですが、標準番手よりは下げたくないですよね・・・
エンジンは濃い分には壊れませんが、薄くなっていくと壊れる危険性があります(2ストエンジンは特に!)
キャブセッティングの基本は濃いめから徐々に薄くしていくことが破損を防ぐ為に大事です
なぜジェットに穴が大きくなるのか?
これには2つ説があって
・ジェットニードルが振動してジェットの穴が物理的に削れるという説
・通過する混合気によって微量に削れていく説
があります。
真相はどうであれ結果的にジェットの穴は大きくなり、ジェットニードルは細くなるのは事実なので
長く使用したジェット類などは交換するのが吉という訳ですね!
キャブのオーバーホールするならキースターがおすすめ
オーバーホールの重要性はわかった、でも部品を一個一個用意するのは大変・・・なんかいい方法ないの?
私も今までは、一個の小売で買ってました、一個で450円〜
ジェット系は手に入るにしてもその他のパーツを揃えるのは大変、パーツリストも持っていないので・・・
でもいいものがあるんです!
それは『KEYSTER(キースター) 燃調キット』
簡単いいますと 車種にあったキャブレターのオーバーホールキット
この燃調キット一つで
・メインジェット
・パイロットジェット(スロージェット)
・ジェットニードル
・ジェットホルダー
・ニードルジェット
・ニードルバルブ(フロートバルブ)
・エアスクリュー
・スロットルスクリュー
・ドレンスクリュー
・フロートチャンバーガスケット
・Oリング
・トップカバーガスケット
を含めた、一個買えば純正キャブレターの内部をほぼ網羅できるキット構成となっています。(NS-1用の場合)
しかも、メインジェット、パイロットジェット、ジェットニードルにおいては、複数の番手が入っており、フルノーマル車だけでなくカスタム車にも嬉しい内容となってるのが特徴です!
注:色が悪いものは交換したものになります
これを知ってからは、まずはキースターでキットがないか探すようになりました!
キャブを社外品に変えていない方はぜひ検討してみることをおすすめ致します。
キャブレターの組み
清掃
分解し終わったらキャブレターの穴をパーツクリーナーでキレイにします。
汚れや堆積物が多い場合はキャブレタークリーナーで漬け置きしましょう!
新しいジェット、スクリュー、パッキンをつける
キレイになったら新しい部品をつけます。
この時、スクリュー類は分解前に確認した『締め終わりからの戻し回転数』を目安に組みます!
『締め終わりからの戻し回転数』は調整ミスでの始動不良、エンジン不調を防ぐ為、必ず守りましょう!
細かい部分もしっかり交換します!
交換した部品たち
車両に取り付け
全部の部品交換が終わったら車両に取り付けます。
ここまでキャブレターの内部部品ができれば、セッティングマニュアルと実際のセッティングが全然合わないといったことがなくなります!
まとめ
いかがでしたでしょうか
今回はキャブレターのオーバーホールについて
・キャブレターオーバーホールの目的と手順
・使い古したキャブレターがセッティングが出ない理由:ジェットの穴は拡がる
・純正キャブレターをオーバーホールするなら【キースター 燃調キット】がおすすめ
・組み付け時はスクリューの『締め終わりからのも戻し回転数』に注意!
でした。
私も長い間、キャブセッティングが出ないし、セッティングマニュアルと合わなくて悩んでいました。
それを解決してくれたのが【キースター 燃調キット】
ノーマルなのにプラグがくすぶっている、改造したのにノーマルの番手が一番マシと悩んでいいるかたは、純正キャブレターの内部リフレッシュをしてみるのがおすすめです!
リンクは 〜1994までのNSR50用です。NS-1用は品番FH-5768Nなのでご注意ください(リンクがなかったので)