絶版2ストロークエンジン搭載 HONDA NS-1 リフレッシュ計画
前回はエンジン腰上部分の分解でした。
ピストン交換前提で作業を進めていたのですが、いざ分解して確認してみると、ダメージはピストンだけにとどまらず、シリンダーにまで及んでいました。
シリンダーの部品待ちで実際は他の部分を分解していますが、流れ的にエンジンで話が続いた方が良い判断したのでエンジンの続きをお送り致します。
バイク整備は自己流になりますが、自動車整備士歴15年以上の経験と見解を駆使して送り致します。
シリンダーが届き部品が揃う
キズだらけのシリンダーに見切りをつけ新品発注。
ついでに、リードバルブのガスケットも頼んだので、ビックボアキット一式とほぼ変わらない部品構成になりました。
新品はやはり綺麗で気分がいいですね!
ピストンキット
補修シリンダー
リードバルブガスケット
を取得したので本来のビックボアキットとほぼ変わらない構成です。
取扱説明書(組み付け手順書)は
組み付ける前の下準備(合わせ面の清掃)
少し話が脱線しますが、重要なので説明します。
興味をある方はぜひ読んで下さい。
さて、整備をしたことがある人ならわかる、面倒だけど手を抜けない作業。
それが清掃・洗浄
真っさらな新品部品だけで組むのであれば不要な作業ですが、再使用する部分があれば必ず行う作業です。
特に部品同士の合わせ目の清掃・脱脂などが不十分だと組んだ後に、オイル漏れ・冷却水漏れなどで作業が振り出しに戻ることがあるので、一定以上綺麗にすることをこころがけましょう!
今回で言うとまずクランクケース(腰下)側
シリンダーを外した部分の合わせ目に、オレンジがかった色がものがガスケットの残りです。
そして、シリンダーヘッド
シリンダーヘッドの方がわかりやすく汚れとガスケットのカスがこびりついてますね。
こういったものはウエスやパーツクリーナーだけでは綺麗になりません・・・
アルミ・スチールの合わせ面をキレイにする方法と工具・道具
ではどうやって除去するかというと
スクレイパー、ワイヤーブラシ、オイルストーンといったものを使用して綺麗にしていきます。
普段仕事で使っていつものとは別で今回ガレージ用に新たに新規購入しました。
スクレイパー(スクレーパー)
まずは一番最初に使う【スクレイパー】
学生時代に使ったであろう、彫刻刀に似ていますが『掘る』ものではないので違います。
平面を『削る』わけでもありません、平面についた異物を『除去』するために使います。
自動車、バイク整備では主にガスケットを除去する用途ですね。
使い方のコツは面に対して斜めに当てることです。
ほぼ並行だと除去できないですし、立て過ぎると金属面をえぐってしまいます。
コツは何度か使うことで感覚的にわかってくると思いますが、会得する前に合わせ面をえぐってしまわないように、最初は寝かせた状態から徐々に立てていくのが良い思います。
ワイヤーブラシ
お次はワイヤーブラシ
樹脂や毛のブラシでは歯がたたないのでワイヤーつまり金属ブラシを使います。
材質はスチールと真鍮ですね、ステンレスもありますが私は使いません。理由は後述。
頑固にこびりついているものにはスチールブラシ、対象物が柔らかめだったりデリケートな部分には真鍮ブラシをといったところです。
といってもほとんどはスチールブラシで対応。アルミの部分も然り。
アルミに対してスチールブラシじゃ抉れたり、キズつくんじゃ・・・と思うところですが
真鍮ブラシじゃ優しすぎて作業性が悪い、スチールブラシだとやりすぎるとキズになりますが、この後使うオイルストーンでキズが消えるレベルで擦るので大きな問題にはなりません。時短時短。
そうそうワイヤーブラシといってもこういったものはダメですよ↓
これは溶接に使うもので溶接前金属の地肌を出したり、溶接後のスパッタを除去するのに使うものなので
これで合わせ面を擦るとエゲツない攻撃力で後悔すること必死なので、ワイヤーブラシの選定には気をつけましょう。
ブラシ部が硬すぎないので使い易いのと、先曲がりタイプのほうが、狭い部分や上を向いて作業時など作業性がいいです(自動車などはエンジンなど搭載したまま作業することが大半です。オイルパン、フロントカバーなど)
スクレイパーとワイヤーブラシを交互に使い、面がキレイになるまでお掃除しましょう!
オイルストーン
最後は仕上げです。
使うのは【オイルストーン】包丁研ぎに使うものと似ていますね。
水で研ぐのではなく、名前にあるようにオイル(油)を使います。
オイルをさす際に使い易い浸透潤滑スプレーを使いたくなるのですが、油分が直ぐになくなって滑りが悪くなるので、スプレーではなくできればエンジンオイルが個人的に使い易いですね。
刃物を研ぐのでななく、平面をキレイに出したいので斜めではなく面対して並行に当て、何度も往復させて金属面をキレイに面出ししましょう!
面の仕上がり目視もそうですが、素手でなでてあげると仕上がりが滑らかか分かりますよ。
素手のセンサー(感覚)を舐めてはいけません、とっても優秀なので活用しましょう。(バリで怪我しないように注意)
という訳できれいにしたシリンダーヘッドがこちら↓
どうでしょう?汚れやガスケットの残りが除去されキレイになりました!
多少磨き傷は見えますが、指や爪は全く引っかからないので合格ラインです!
あとは取り付ける前に脱脂して取り付ければOKです。
クランクケース側はこんな感じ
シリンダーヘッドに比べて状態が悪く、腐食した部分、傷が深い部分もありますが使用上問題がないのでOKとしました。
(腐食している部分はウォータジャケットの行き止まりでガスケットがカバーしてくれます。左上のスタッドボルト付近の深い傷は前回作業時の未熟な作業の不手際です・・・)
外観もキレイにしたいところですが、『外見より内面』まずは機密性など大事な部分を使用上問題ないレベルに仕上げるのが大事だと私は考えます。(見た目の改善は時間と金銭に余裕があればその後に)
次回予告
今回は清掃編でした。必要な道具は
- スクレイパー(スクレーパー)
- ワイヤーブラシ
- オイルストーン
になります。
使用するものは高価ものではないので揃え易いと思います
清掃をきちんとすることで、後のトラブルも防げますし、何よりやり直しが起きないようにすることが一番大事です
一番大事なのは『時間』です
学生時代は無限に時間があるように思えましたが、社会人になると時間を捻出することが難しくなりますよね
貴重な時間、プライベートも仕事も大事な時間に変わりはないので是非無駄にしないようにしましょう!
次回は『組み』に入ります
それではまた次の記事でお会いしましょう!