工具セットに入ってるラチェットレンチに慣れてくると、要所要所でもっと使いやすいものはないのかな?
と思うのが整備であり工具の世界です
~工具沼へようこそ~
ここでは国産自動車ディーラーで15年以上の整備士経験を誇る私の見解で、本当におすすめのラチェットレンチを紹介致します!!
プロが使う工具メーカーは高価なものが多いので、ここでは主に商品そのものではなく
『この機能・この長さ・大きさが使いやすいんだ!』という【特徴】を前面に押し出して紹介致します!
実際に購入する工具ブランドは予算・使用頻度に応じて変えればいいと私は思います♪
繰り返しになりますが、次の1本!整備士が使うラチェットレンチ3選!
それではどうぞ!!
9.5sq(3/8)コンパクトラチェットレンチ【シブイチボディ・首振り・長さ150mm】
1つ目は、細かい作業用です
クルマでは主にアンダーカバーのボルトや、オイルエレメント交換、バッテリー交換などの軽めの作業からエンジンルームの奥まった細かい作業、室内のボルト類まで
バイクでは外装品、ハンドル周り、エンジン関係の整備バイクでは外装品、ハンドル周り、エンジン関係の整備など
守備範囲のボルトの頭サイズ(二面幅)は7~12mmといったところであり、使わない日はない工具の一つです
ポイント①:長さ150mm
工具セットに入っている差込角3/8(9.5sq)ラチェットレンチは180~200mmのものが多いです
そしてがっちりした造りなので高いトルクに耐えられますが、ラチェットヘッドを手のひらで包み込むようにして使う場面では大きくて正直使いづらい・・・
こういった作業のボルト頭サイズ(二面幅)は8~12mmが多く、180mmのサイズのラチェットレンチだと持て余してしまうんですよね
ラチェッティング時に周りの物にぶつかってしまったり、重めなので回しづらかったりします
といっても短ければ短いほどよいという訳でもありません
長さが長いほど、ボルトを緩めるのに必要な力が少なく済むからです
差込角1/4の標準ラチェットの長さは125mmが多いのですが、この長さだと固くしまったオイルエレメント(オイルフィルター)、固着した10mmのボルトでは苦労して外すことができなかったり、一旦、別の長い工具で少し緩めてから、また125mmサイズに戻して外すということをしなければなりません
150mmという、ほんの少し延長した長さが力を発揮して軽い力で作業できるという訳ですね!
ポイント②:フレックス(首振り)タイプ
そして、首振りタイプであることです(フレックスラチェットともいう)
150mmでも場所によって長すぎる場合があります、また、障害物が邪魔な為セミディープ、ディープソケットやエクステンションバーで高さ(長さ)を調節することもあると思います
一度工具を手にしたら調節のために何回もソケットなどを付けなおすのは意外と面倒・・・
ここで、首振りタイプですと、あら不思議!ラチェットの柄の部分を逃がすことができるのです!
この【逃がし】ができる構造が快適な作業をもたらしてくれる訳ですね
ポイント③:シブイチボディの差込角9.5sq(3/8)
でも、長さ・首振りだけなら1/4でいいんじゃと思う方もいると思います
お金のある方は是非そうしてください、1/4も3/8も1/2も揃えましょう!
しかし、手持ちのソケットを有効活用したくなるのが整備士です
物を直したりメンテナンスして長く・有効に使いたい人が整備士になっていることが多いので尚更ですよね!
なので3/8のソケットをそのまま使える1/4ボディの3/8差込角=コンパクトラチェットレンチを使いましょう!!
めちゃめちゃ便利なので一軍工具間違いなしですよ♪
【コンパクトラチェットレンチ】はこちらの記事でも紹介していますので、興味のある方は是非どうぞ!
9.5sq(3/8)ロングフレックスラチェットレンチ【首振り、長さ300mm】
2つ目は、先ほどのコンパクトラチェットレンチの次に使用頻度が多いラチェットになります
今回の『肝』は差込角が3/8であり長さが300mmクラスのというところになります
ポイント①:差込角が9.5Sq(3/8)
車では使用頻度ナンバー1の差込角が3/8
3/8はソケットの守備範囲が5.5~24mmと幅広く、様々なシチュエーションで使います
しかもスパークプラグやオイルプレッシャースイッチ、O2センサーなどの特殊用途のソケットの多くは3/8で造られています!
なので手に取ることも多い工具となる訳ですね
ポイント②:長さ300mm
300mmの長さがあるので軽い力でネジを緩めることが可能です(先ほど紹介したものは150mmなので2倍の長さ!)
しかも、この長さは軽い力で操作ができるのみならず、長さがあることで奥まったところにアクセスできるのも◎
具体的には、ベルト交換などのテンショナーを緩める時、オルタネーターなどの補器類を外す時など、周りに障害物があるシーンで重宝します
ポイント③:フレックス(首振り)タイプ、ロック機構があるとさらに◎
首振りについては、コンパクトラチェットレンチと同じで障害物を逃がすことで長いリーチを保ったまま力をかけることができます
できれば首振りのロック機能があるのものがベター!
なぜなら首振り機構がソケット重さに負けて不本意に動いてしまって、ボルトからソケットが外れて「イラッ」っとすることがあるからです
これが前回の150mmであれば人差し指で支えることができるので問題にならないのですが、今回の長さだと指がヘッド部分に届かない・・・
なので、首振りを固定できる機構があると不本意な首振りを阻止できるので狙ったボルトにソケットが掛けられ効率もアップするという訳です(角度も保持したまま固定もできます)
そうじゃなくてもストレートなラチェットとして使いたいシーンもあるので、ロック機構はおすすめになります
ボルトの守備範囲としては頭が12~17mmといったところでしょうか17mmもネジによっては固いのでベストは12~14mmといった感じになります
ほんとに使いやすい範囲というのは意外と狭いので、プロの整備士は色んな種類のラチェット持っていて、その場その場で最適な工具を使い分けて効率の良い作業をしているですね
12.7sq(1/2)ロングフレックスラチェットレンチ【首振り、長さ450mm】
3つ目は一番大柄な工具になります
見るからに大きくて頑丈そうですよね!
ポイント①:差込角12.7sq(1/2)
まず差込角が12.7sq(1/2)であるように高トルクが必要な場面であり、ボルトのサイズ(2面幅)は17mm以上の太いボルトになります
12.7sq(1/2)の工具といえば、主にサスペンション周りの作業が思い浮かびますが、意外に多いのが・・・
クランクを回す作業です!
クランクを回す?と思う方も多いのではと思いますが、クランクプーリーを回すということです
最近多いのはベルト交換で、ベルト交換用の特殊工具をかける際にクランクプーリーを回すという作業が発生するのです
そもそも昔から、ベルト交換後はクランクを回して、新しいベルトが確実に溝にはまっているかの確認は必須ですし、タイミングベルト交換や、タイミングチェーンであっても『1番圧縮上死点を出す』とあるようにクランクを回す作業は意外にあるという訳なんですね
ここで9.5sq(3/8)の工具では華奢で頼りなく感じます
クランクを回すということはエンジン内で圧縮工程が行われ、これが抵抗となって回すためにはかなり大きな力が必要となりますので頑丈さが必要であり差込角も大きい12.7sq(1/2)が最適になるのです
ポイント②:長さ450mm
長さも300mm前後ではクランクを回す為には大きな力が必要になってしまいます
1/2 ロングフレックスラチェットレンチであれば平均の長さは400mm程度あるので少ない力で作業できます
もちろん1/2工具なので柄も太く頑丈な為、安心して力をかけることができます!
クランクだけでなくサスペンション周りの固くしまったボルトにもOK
ポイント③:フレックス(首振り)タイプ
最後にフレックス(首振り)タイプ、繰り返しになりますがこれはいつでもまっすぐ工具をかけられるわけではないということ
そして、いちいちソケットやエクステンションバーで軸方向の長さを調整しなくても、首振りにすることで障害物をかわせるので作業性が良いのです
クランクプーリー周りではフレームやサスペンションメンバー、ロアアームやドライブシャフトが障害物になることがあります
サスペンション周りの作業ではアーム類が入り組んでいる為、特に障害物が多くこの首振り機能が効いてきますよ!
まとめ
いかがでしたでしょうか
今回は【自動車整備士がよく使うラチェットレンチおすすめ3選】
①9.5sq(3/8)コンパクトラチェットレンチ【シブイチボディ・首振り・長さ150mm】
②9.5sq(3/8)ロングフレックスラチェットレンチ【首振り、長さ300mm】
③12.7sq(1/2)ロングフレックスラチェットレンチ【首振り、長さ450mm】
を紹介致しました
ちなみに先日、職場の1年生に激推ししたところ
感化してくれて3本購入していました!しかもSnap-Onで!!
将来有望です(笑) ~工具沼へようこそ~
職場環境によると思いますが、整備士にとって工具購入は自己投資であり、趣味でもあるといったところです
パソコンで仕事をする方はパソコンのスペック・周辺機器にもこだわると思います
プロであるからこそ、仕事道具にはこだわりましょう!!
サンデーメカニック、趣味の方は良い工具を求めてオーバースペックになるのであれば、その費用を部品代、カスタム・メンテナンスに回したい方も多いと思います
序盤で触れましたが今は同スペックで安いものも手に入りますので(質感・精度・耐久性は差が出ますが)
アストロプロダクツ、ストレート、ネットショッピングを駆使して安い中でも良いものを選びましょう!
この記事が皆様の工具選びの参考になれば幸いです♪