春・冬のスタッドレスとサマータイヤのタイヤ履き替え、車いじりの為のタイヤ(ホイール)外しなど車からタイヤを外すことって意外と多くあります。
心得がある人にとっては、難しくない作業ですが節約のために初めて自分でやってみるパターン。これって結構、後で高くつくことがあります・・・しかも危険!
正しい道具と正しい知識があれば安全に作業できるのでチャレンジしてみたい方は参考にしてくださいね!
今回は道具編(用品・工具)になります!
国産自動車ディーラーにて15年以上の整備士経験と見解でお送りします!
結論:最初はお金がかかる!ケチらず道具を揃えて
いきなりですが、何事も最初はお金がかかります・・・
お金がかかる?節約したいのに・・・
そうなんです!スノーボードするのにも板、靴、ウェアーが必要。バイクもヘルメットだけじゃ危険・・・なのでそれなりの装備・道具が必要なのです!
(乗るだけならお金がかからない乗って自動車位かと)
タイヤ履き替えも車載工具だけじゃ安全に作業はできません!!
車載工具は緊急用です!緊急時以外にあの不安定なパンタジャッキを使うことはやめといた方が無難なのでやめましょう。
一番命が大事です!安全作業のために、最低限の道具は揃えてから臨むようにしましょう!
必要なもの
じゃあ何が必要なのさ?と思いますよね解説していきます。
必要なのものは8点
・油圧ガレージジャッキ
・輪止め(専用の物、木端)
・リジッドラック(通称:ウマ)
・十字レンチ、スピンナハンドル、インパクトレンチ
・ホイールナットにあったサイズのロングソケット
・トルクレンチ
・電動エアコンプレッサー(12V)
・デプスゲージ、ノギス、スケール
になります。どうでしょう?意外と多いと思いませんか?でも安全に作業するためには必要なのです。
深ぼっていきましょう!
油圧ガレージジャッキ
冒頭にも書きましたが車載工具によくあるパンタジャッキはおすすめしません!
理由は不安定で倒れる危険性が高いからです。輪止めしなかったり、傾斜を甘くみると簡単に倒れます!
(私自身も若かりし日にやらかしていますので、本当です!)
ガレージジャッキと言われるものは造りが頑丈なので転倒することは使い方を間違えない限りはないでしょう。
耐荷重も2t〜がほとんどで、パワー(油圧)があるのが特徴です!
選ぶポイント
選ぶべきポイントは2つあって、最低位と最高位になります。また、自宅・ガレージの据え置き用か車に積んで運ぶかによって選ぶサイズも変わります
①最低位とは名の通り一番低い位置。車の最低地上高というものがあって90mm以上ないと車検に通らないので。90mm未満を選択しましょう!作業時にジャッキが入らないということを防げます。
②最高位とは一番高い位置。この能力が足らないとジャッキを限界まで上げたのに、タイヤが地面から浮かなかったということが起こります。特にSUVや本格4WD車は注意です。
※元々車高の低い車やジャッキが入ってもジャッキアップポイントまで届かない場合は『スロープ』が有効なので必要なので必要に応じて用意しましょう!
自宅・ガレージ用ならアームが長いタイプがおすすめ!
アームが長いとジャッキアップポイントに無理なくアクセスできて作業性が良い。またツインポンプ仕様が多く、一回の動作でアームが高くしかも少ない力で上げることができます!
反面、大きくとても重いので持ち運びは考えない方がいいでしょう。
↓私が使用している緑のジャッキと似たような機能のジャッキになります。
車載など持ち運び用は低床でコンパクトタイプがおすすめ!
最低位90mm以下のローダウンジャッキ。かつ2t以上。
もちろん乗っている車によりますが、車重+0.5tの余裕が欲しいところ。
ローダウン用とありますがアームが短いのでジャッキの棒が上下するスペースがない場合があります。この場合はスロープを使って高さを確保するなどの工夫が必要です!
番外編:サーキットユーザーならアルミジャッキ
アームもそこそこ長くて上げやすい、大きめだけどアルミ製だから比較的軽量。
いいとこ取りですが値段が高いのがネック。軽量とありますが、鉄製と比べてなので注意。
サーキットでタイヤ交換、サスペンションセッティングなどヘビーに使うならいいものを買いましょう!
輪止め
輪止めはジャッキアップ時にタイヤのが動いて欲しくない方向に転がるのを防ぐものです。
パンタジャッキなどは輪止めを使用しないと特に危険なので必ず設置しましょう!
ものは正直そこまでこだわらなくても良いでしょう!
専用の輪止めははもちろん、木端でも代用可。緊急時などは工具を挟み込むのでも無いよりかなりマシなので『ジャッキアップ時は輪止めを使う』ことを意識付けることが大事。
リジッドラック(ウマ)
リジッドラックはジャッキアップした後の高さを安全に確保・維持するものです!
安全に作業する為には欠かせないものです。
なぜなら油圧ジャッキは高さを維持するのは苦手だからです!
油圧ジャッキでジャッキアップしたまま数時間置いておくと実は高さが下がります。
これは壊れているのではなく製品の仕様です。(もちろん劣化しているほど下がりやすくはなりますが)
ジャッキのみで車の下に入ることは絶対にやめましょう!1年に何件かは車の下敷きになる事故が発生している現実があります。
選ぶポイント
車、ジャッキに合った高さを選ぶこと。
最低位が高すぎると、ジャッキアップしたのにリジットラックが入らずかけられない。
最高位が低すぎると、リジットラックをかけたのに、タイヤが地面についてしまってタイヤが外せない。
SUV車などタイヤの大きいものほど大きい(高い)サイズを選ぶことがポイントです。ジャッキの最高位も確認して選びましょう!
十字レンチ、スピンナハンドル、インパクトレンチ
タイヤを外す為には、ホイールナットを緩める必要があり、緩める為の工具。
種類がありますがまず手動か電動か選ぶこと(今回はエアー式は割愛)
手動であれば十字レンチかスピンナハンドル
十字レンチは慣れれば早く作業ができますが場所をとります。(折りたたみや差し込み式は剛性間が無いので個人的におすすめしない)
スピンナハンドルはコンパクトになりますが、十字レンチほど早くは回せません。
スピンナハンドルについてはこちらの記事で紹介しています!
どちらも一長一短。お好みで!(個人的に十字レンチでシュルルーと回転させながらホイールナットを外す姿に憧れてました!)
十字レンチを買うなら薄口のものを買わないと役に立たなない時があるので気をつけてくださいね!
安物はソケット部分が分厚いものが多いので注意。
私は18歳の時に買った薄口十字レンチもまだもってます!最近は電動が多いので使用機会は減りましたが・・・
電動インパクトレンチ
電動は楽に早くホイールナットを回すことができます。ですが、なんでも良いわけではありません。
大事なのはトルク!外す対象物トルクの2〜3倍は欲しい。
なぜならホイールナットは85〜108N·mで締まっているのが多いのですがトルクが140N·mのものはほとんど緩みません!
200N·mあっても緩まない場合もあるので、余裕を持って300N·mくらいのパワーが欲しいところです。
あとインパクトドライバーはパワーが十分でも緩まないことが多いので注意!
軸が細くて力が逃げてしまうのです、パワーが活かせない。自動車整備用ならインパクトレンチ(1/2sq)を選びましょう!
ロングソケット
ここでもロングソケットというのはホイール専用のソケットを指します。
なぜ専用がいいのか?普通のじゃダメなの?と思いますが理由は2つ
①ディープソケットではオフセット(長さ・逃げ)が足らない。
緩め締め作業では工具を車に対して並行にするため、ソケットの長さが足らないとと手や工具が車に当たってしまいます。車を傷つける危険性も。エクステンションバーを使えば解決しますが工具の剛性感が落ちるのでソケットだけで完結するのがおすすめ。
②薄口かつインパクトレンチ対応
社外品のホイールはナットホールの径が小さく薄口タイプじゃないと穴に入らない場合あります。
インパクトレンチ対応ものじゃ無いとインパクト使用時にソケットが壊れてしまう可能性あり。
サイズについて、国産乗用車の多くは21mmまたは19mmのホイールナットを使用しています。
ホイールナットは社外品に変えていないのであればこの2サイズがあれば困ることは稀。
でも17、19、21mmの3本セットがお得に買えることが多いのでセット買いするのも良いと思います。
トルクレンチ
ナットを正しい締め付けトルクで締めるのに必要不可欠なもの。
二昔前のトルクレンチが主流でなかった整備士は車載工具の『L型レンチ』をホイールの締め付けに使っていたと先輩整備士に聞きました。熟練した整備士ならではの感覚とL型レンチ特有の絶妙な長さで割と正確なトルクで締められていたとこのこと。
感覚という作業者に大きく左右される為、誰でも正確に締め付けることは難しい。世間的にも正しいトルク管理が求められているので、現在は緊急時以外はホイールナットを『手ルクレンチ』で締めているところは無いと思います。
締め付けが弱い(足らない)とどうなるか?
走行するにつれナットが緩んでしまい、ホイールの穴が拡がってしまったり、最悪脱輪という危険性もあります。
締め付けが強い(締めすぎ)ちどうなるか?
過度な締め付けはナットとボルトを傷めます。次回外す際にナットが取れなくて、ボルト折れに繋がるケースもあります。
なので正しいトルクで締め付けるということが大事なんです!ホイールナットは車の一生でもに何度も外す部分。トルク管理が弱いとナット・ボルトの寿命を大きく縮めることになりますのでトルクレンチを使いましょう!
選ぶポイント
ホイールナット専用か締め付け範囲を持った汎用化の選択になります。
ホイールナットに使うのであれば差し込み角が12.7sq(1/2インチ)のものを。
ホイールナット専用トルクレンチ
タイヤ履き替えしか行わない。タイヤの外すことが頻繁にあるのであればホイールナット専用がおすすめ。
なぜなら、調整がないので迷うことがない。トルクを最低値に戻す必要もないこと。
調整式トルクレンチは使用後は最低値に戻すのが正しいのでいちいち元に戻す必要がないというのもメリットですね。
デメリットはその設定されたトルク値でしか使えないこと。しかし、100〜110N·mの場所であれば使用可能です。サスペンション周りなどは意外に使えることありますよ。
調整式トルクレンチ
調整式にも種類がありますが最もメジャーなプリセット型を前提に説明します。
調整式トルクレンチは調整幅があるので、さまざまな場所で使えます。その中でも調整範囲の中央付近で使うのが良いとされます。
例えば40~200N·mであれば120N·m付近。ホイールナットやサスペンションまわりで使うことが適しているものになります。これらレンチの長さや差し込み角もそのように設計されています。
正直40N·mを締めるのにはレンチが長すぎて扱いずらい、200N·m締めるのには、目一杯力がいります。
なので調整範囲が異なるサイズを2〜3本揃えるのが自動車整備士に多いです。
トルクレンチは高価なのでつい安いものを購入したくなりますが、何のためにトルクレンチを使うのか?と考えると、名の通ったメーカーのものを買うことをおすすめします。(正確なトルク管理で安心を得たいのに、安いけどトルク精度が怪しいものを使うのは本末転倒)
トルクレンチであれば『東日』がおすすめです!カチッとした音とクリック感があって使い易いのと信頼性があります!
空気入れ
タイヤ履き替えの後、空気圧を調整せずに走り出すのは少々危険です。
自転車のタイヤの空気が時間が経つと減るように、自動車のタイヤの空気も減ります。
1ヶ月で5〜10%減るとのこと。ざっくり1ヶ月で10kPa減るとすると半年で60kPa。結構減りますよね。
空気圧が低くなるととハンドルが重くてわだちに取られやすくなって危険、タイヤ自体にも負担をかけてしまいます。なので空気圧調整は大事という訳ですね!
空気入れと聞くと自転車のタイヤ用を思い浮かべてしまうかもしれませんが、あれで空気を入れることは不可能ではないですが日が暮れます・・・ので使い物になりません。
エアコンプレッサーをもっている人はごく少数なので、ここでは車載されている【電動エアコンプレッサー】を活用することをおすすめします!
電動エアコンプレッサー(12V)
12Vパワーソケット電源で駆動可能。エアは大体350kPaまで入れられるものが多い。
エアコンプレッサーに比べて時間がかかりますが、200kPaから240kPaとかの調整であれば1本あたり1~2分あればいいのでDIYなら十分だと思います!(空気圧ゼロ〜240kPaとはかなり時間がかかりますけどね・・・)
車載工具ですが、パンタジャッキみたいに不安定で危険という訳ではないので、積極的に使いましょう。
(耐久性は不明ですが私が使っているものは5年以上使っても壊れていない)
(空気圧のメモリはありますが精度は目安程度と思いましょう。高めに入れたあとにタイヤゲージでチェック&調整するのが良い使い方だと思います。)
リンクは社外品になりますが大体2〜3000円程度で購入できます。
デプスゲージ、ノギス、スケール
ざっくりいうとタイヤの残り溝を測るものです。
なぜなら、タイヤを上手に使い切る為、タイヤの性能を発揮する為の判断基準を測る必要があるからです。
現在主流である前輪駆動車(FF車)はフロントタイヤで走る曲がるの負担が集中するので後輪タイヤより早く減ります。
タイヤに無頓着な人は車検から車検まで履き替えもローテーションもしないので(もちろん空気圧調整も)、フロントタイヤだけ交換時期になっているケースもよく見受けられます。
タイヤの残り溝に気を配ることでタイヤの寿命は1.5倍以上は長持ちします!(磨耗による影響の話)
ではどんなものが適切で使い易いか?
デジタル式のデプスゲージまたはノギス
デプスゲージとは『深さ寸法を読み取る測定器』です。ノギスに比べ機能が少ないですが、コンパクトでタイヤ・ブレーキ残量測定に使い易い。
アナログ式のほうが信頼性がありますが、数値を読むのに慣れと数秒が必要。
要は時間がかかるんです・・・慣れていても時々読み間違えることがあります(だって人間だもの)
デジタル式であれば電源ONして0点合わせさえすれば、すぐ使えて数値も表示されるのでスッっと読むことができます!煩わしさがないので効率アップ!
ただし、電池式なので電池切れには注意しましょう。
スケールはいわば定規のようなのも、0.1mm単位は読めないですが、測らないより断然マシ!
どのタイヤが多く溝があるか?の判断はできるはずです。
まとめ
自動車整備士が教えるタイヤ履き替えに必要なのもの8選
・油圧ガレージジャッキ
・輪止め(専用の物、木端)
・リジッドラック(通称:ウマ)
・十字レンチまたはスピンナハンドルもしくはインパクトレンチ
・ホイールナットにあったサイズのロングソケット
・トルクレンチ
・電動エアコンプレッサー(12V)
・デプスゲージまたはノギスまたはスケール
一見多く思えますが、安全で確実な作業をするのに必要不可欠な道具達です。
一度揃えれば、長く使えるものばかりなので整備が好きな方、節約したい方も一度検討してみてはいかがでしょうか?
自分でできるということは自信に繋がり、作業そのものも楽しくなります!
しかもタイヤ履き替えシーズンの予約の取りにくさ、当日の待ち時間にヤキモキすることもなくなりますよ。
安全第一で作業しましょう!